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リファラル採用の始め方|スタートアップがゼロから立ち上げる8ステップと工数・スケジュール

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「リファラル採用を始めたいけれど、何からやればいいの?」。いざ動こうとすると、順番が分からず止まってしまいがちです。

先に結論をお伝えします。リファラル採用の始め方の肝は、目的を先に決めることまず小さく始めること、そして運用を止めずに続けることの3つだと、私は考えています。この記事では、目的設定から運用・改善までを8つのステップに分け、それぞれ何をするか、どのくらいの手間がかかり、誰がやるのかまで、具体的に解説します。各ステップの詳しい進め方は、個別の記事にも飛べるようにしています。

リファラル採用の基本的な流れ

まず全体像です。リファラル採用は、次のような流れで進みます。

会社が「こんな人を探している」と社員に共有し、社員が知り合いの中から合いそうな人を紹介します。紹介された候補者は、通常の応募者と同じ選考を受け、入社が決まれば、紹介した社員に紹介報酬を支払う、という流れです。求人媒体やエージェントと違い、社員の人脈が母集団になるのが特徴です。

たとえば、あるチームがエンジニアを探しているとします。人事がその求める人物像を全社に共有すると、一人の社員が「前職の同僚が合いそうだ」と思い出し、声をかけます。興味を持った同僚が応募し、通常どおり面接を受けて入社が決まる。紹介した社員には、規程に沿って報酬が支払われます。これが、リファラル採用の一連の動きです。

すでに珍しい手法ではありません。東京商工リサーチが2026年6月に6,475社を対象に行った調査では、約49%の企業がリファラル採用を導入しています。始めること自体は、特別なことではなくなっています。

始める前に、メリットとデメリットを押さえる

動き出す前に、良い面と気になる面を一度整理しておきます。メリットは、定着率の高さ・採用コストの低さ・マッチ度の高さです。デメリットは、紹介者と候補者の人間関係の気まずさ・人材の同質化・制度が形骸化しやすいこと。デメリットの多くは、設計と運用であらかじめ対処できます。3つの視点からの詳しい整理は、メリット・デメリット総まとめの記事にまとめています。

そのうえで私は、採用予算や知名度に限りがあるスタートアップ・中小企業ほど、リファラル採用を検討する価値があると考えています。事業に集中したいフェーズで、採用に時間もお金もかけすぎるわけにはいきません。知名度で大手に劣るぶん、社員の人脈は数少ない武器になります。自社とのマッチ度を重視した採用につなげやすいのも、限られたリソースで戦う会社に合っていると思います。なお、紹介で入った人は定着しやすい傾向も研究で示されており、米国の分析(Burks et al., 2015, QJE)では、紹介経由の入社者は離職確率が10〜30%低いという結果でした。

あわせて読みたいリファラル採用のメリット・デメリットとは?データと実企業3社の事例で解説

始める前にそろえておくもの

大がかりな準備は要りません。始めるのに必要なのは、次のくらいです。

  • 経営・現場の合意:制度を続けるには、上の理解が欠かせません。まず目的を共有しておきます
  • 募集ポジションと求める人物像:まず1つに絞り、具体的な言葉にしておきます
  • 社員向けの案内(1枚):誰が紹介できて、いくら、いつもらえるかをまとめたもの
  • 申請の窓口:紹介を受け付ける場所。専用フォームでも、チャットの一言でもかまいません
  • 記録用の表:紹介数・面談数・入社数を記録するスプレッドシート1枚

私は、最初から専用ツールを用意する必要はないと考えています。チャットとスプレッドシートだけでも、まず制度を試すことはできます。ツールの導入は、紹介の件数が増えて手作業での管理が追いつかなくなってからでも遅くありません。まずは身近な道具で、動かしながら整えます。

リファラル採用の始め方【8ステップ】

ここからが本題です。ゼロから立ち上げる手順を、8ステップで示します。

リファラル採用を始める8ステップ
  1. STEP1
    目的とゴールを決める
    何のために始めるか(コスト削減・特定職種の採用・ミスマッチ減)を先に言葉にする
  2. STEP2
    推進メンバーを選び、キックオフする
    旗を振る担当を決め、関係者で目的とゴールを共有する
  3. STEP3
    対象と求める人物像を決める
    まず1ポジション。知り合いの顔が浮かぶ具体性で人物像を言語化する
  4. STEP4
    候補者に渡せる説明材料を用意する
    求人票やドキュメント1枚でも可。社員が友人を誘いやすくなる
  5. STEP5
    報酬を設計する
    金額と支給条件を決める。高すぎる報酬は質より数の紹介を招きやすい
  6. STEP6
    規程を整え、法務を確認する
    支給条件を明文化し賃金として位置づけ、社労士・弁護士・税理士に確認する
  7. STEP7
    社員へ周知し、申請フローを整える
    誰が・いくら・いつもらえるかを1枚で伝え、申請の手続きを簡単にする
  8. STEP8
    運用を回し、KPIで振り返る
    感謝と選考結果を返し続け、紹介数・入社数を見て改善する

ステップ1 目的とゴールを決める

まず「なぜやるのか」を言葉にします。あわせて、ざっくりした目標も決めておきます。「半年で紹介から2名採用する」といった目安があると、後で効果を測りやすくなります。目的が「コスト削減」なら報酬は控えめに、「特定職種の採用」なら対象をその職種に絞る、というように、この後の判断はすべてここから決まります。

ステップ2 推進メンバーを選び、キックオフする

旗を振る担当を決めます。次に、経営・現場の関係者を集めて、短くていいのでキックオフの場を持ちます。目的とゴール、進め方をここで共有しておくと、後の動きが速くなります。人数は少なくてかまいません。誰が何を担うかを決めることが目的です。

ステップ3 対象と求める人物像を決める

私なら、最初は1つのポジションに絞ります。そのうえで、求める人物像を「知り合いの顔が浮かぶ」粒度まで具体化します。「エンジニア募集」ではなく「TypeScriptでWebサービスを3年以上つくってきた人」と言われて、初めて社員は「あの人が合いそう」と動けます。ここが曖昧だと、そもそも紹介が生まれにくくなります。人物像の具体化のコツは、続かない4つの壁の記事で詳しく扱っています。

ステップ4 社員が候補者に渡せる説明材料を用意する

社員が友人を誘うとき、口頭だけでは自社の魅力を伝えきれません。事業内容・働き方・これから目指すことが分かる説明材料があると、社員はそれを見せながら誘えます。専用の採用ピッチ資料でなくてもかまいません。求人票、Notionやドキュメント1ページ、既存の採用ページなど、いまあるもので始められます。凝った資料がないと始められない、ということはありません。

ステップ5 報酬を設計する

紹介報酬を出すかどうか、出すならいくらかを決めます。東京商工リサーチの調査では、報酬額は「1〜10万円未満」が最多でした。職種や採用難易度で差をつける会社もあります。高額な報酬だけを前面に出すと、紹介の動機が金銭に偏る可能性があります。報酬は、紹介という善意へのお礼の位置づけにとどめるのが、私のおすすめです。金額の決め方は報酬相場の記事で詳しく整理しています。

ステップ6 規程を整え、法務を確認する

報酬を出すなら、支給条件を明文化した規程を用意します。「誰が紹介できて、どんな場合に、いくら、いつ支給するか」を曖昧にしないことが、後のトラブルを防ぎます。報酬は就業規則・賃金規程に位置づけ、「賃金」として支給する形が実務ではよく採られます。払い方を誤ると職業安定法などに触れる可能性があるため、社会保険労務士や弁護士、税理士への確認が欠かせません。コピペで使える雛形は規程の作り方と雛形の記事に、法務・税務の論点は報酬は違法?の記事にまとめています。

ステップ7 社員へ周知し、申請フローを整える

制度は、社員が知らなければ動きません。「誰が紹介できて、いくら、いつもらえるか」を1枚にまとめた案内を用意し、入社時や定例の場で繰り返し伝えます。たとえば、全社チャットに「今週こんな人を探しています」と週に一度流すだけでも、制度は思い出されます。あわせて、申請の手続きをできるだけ短くします。「名前を伝えるだけ」「チャットで一言」くらいまで簡素にすると、社員が動きやすくなります。

ステップ8 運用を回し、KPIで振り返る

立ち上げのなかで、ここがいちばん力の要る部分です。制度を作った直後は紹介が出ても、反応がないと数か月で止まります。紹介があったらお礼と選考結果を返し、募集ポジションを定期的に思い出してもらう。この運用を続けられるかが、うまくいくかどうかに大きく関わります。あわせて、紹介数・面談数・入社数を記録し、ステップ1で決めた目的に近づいているかを振り返ります。記録は、スプレッドシート1枚で足ります。

あわせて読みたいリファラル採用規程の作り方と雛形|コピペで使えるテンプレートと記載項目・法的リスク

立ち上げにかかる工数と、誰がやるか

どれくらいの手間がかかるのか、誰がやるのかは、始める前にいちばん気になるところです。以下は、私の実務上の目安です。会社の規模や状況で変わります。

やること

時間の目安

主にやる人

目的とゴールを決める

半日〜1日

経営者

人物像を固める

現場と1〜2時間

経営者・現場マネージャー

報酬・規程を整える

数日〜2週間(専門家レビュー込み)

管理部門・社会保険労務士

周知と採用ピッチ資料

1〜2日

推進担当

運用(継続)

週1〜2時間程度を継続

推進担当

立ち上げそのものは、数日から数週間で形になります。ですが、本当に手がかかるのは、その後の「運用を続けること」です。私なら、まず週1〜2時間程度を運用枠として確保します。ここは一度きりではなく、続けることで効いてきます。とくにスタートアップや中小企業では、専任で置く余裕がないことも多いはずです。だからこそ、誰が担うかを始める前に決めておくと、後がスムーズです。

私ならこう進める、立ち上げの90日

時間軸でも、私なりの進め方を示しておきます。90日という区切りに決まりはありません。あくまで一例なので、自社のペースに合わせて調整してください。

【私ならこう進める】立ち上げの90日
  1. 準備〜2週間
    • 目的とゴールを決める
    • 対象ポジションと人物像を固める
    • 報酬・規程の骨子をつくる
    • 推進メンバーを選ぶ
  2. 立ち上げ1か月目
    • キックオフで目的を共有する
    • 社員へ周知し、申請窓口を用意する
    • 採用ピッチ資料を用意する
  3. 運用2〜3か月目
    • 紹介に感謝と選考結果を返す
    • 紹介数・面談数を記録する
    • 一部のチームから紹介を募る
  4. 定着・改善3か月目〜
    • KPIで振り返る(PDCA)
    • 対象ポジションを広げる
    • うまくいった型を横展開する

あくまで一例です。自社のペースに合わせて調整してください。

私なら、最初の90日は、数を追うより「紹介が生まれ、反応が返る」という循環をつくることに集中します。循環さえできれば、あとは対象を広げていけます。

誰が旗を振るか — 腰を据えて、粘り強く

立ち上げでは、旗を振る人を1人決めておくと、うまく回りはじめます。担当がいないと、「みんなの仕事」がいつのまにか「誰の仕事でもない」状態になり、制度は止まります。

正直にお伝えすると、リファラル採用は、仕組みを作れば自動で回るものではありません。推進担当が粘り強く運用を続けることで、はじめて根づきます。紹介がない時期にも周知を続け、紹介があれば丁寧に対応し、数字を見て手を打つ。この地道な繰り返しを、片手間の思いつきでやろうとすると、数か月で止まりやすくなります。

誰が担うかは、会社の規模で変わります。創業まもないスタートアップや小さな会社では、社長や管理部門の担当者が直接旗を振ることが多いです。人事の担当がいる会社では、その人が推進役になり、経営が後ろ盾になる形が回りやすいです。専任を置ければ理想ですが、難しければ、片手間でも「この人が続ける」と決まっていることが、何より大事です。

小さく始めるのがコツ

私が最初に避けたいのは、全社・全ポジションで一気に始めることです。周知も運用も追いつかず、紹介がばらけて熱が続きにくくなります。

私なら、まず1つのポジションで、1人の紹介が生まれるという小さな成功体験をつくります。それを社内で共有し、そこから対象を広げていく。最初から完璧な制度をつくろうとせず、動かしながら整えるのが、私のおすすめする進め方です。

よくある壁と、その対策

立ち上げでぶつかりやすい壁を3つ挙げます。始める前に知っておくと、先回りできます。

よくある壁

起きること

対策

社員に丸投げする

制度やツールを入れただけで満足し、紹介が生まれない

推進担当が定期的にリマインドし、情報発信を続ける

報酬だけで動かそうとする

金銭目的の紹介が増え、不採用が続く

報酬はお礼にとどめ、金銭以外の称賛も仕組みにする

紹介者への雑な対応

事務的・雑な対応で、紹介してくれた社員の信頼を失う

感謝を伝えたうえで、選考結果を丁寧にフィードバックする

3つに共通するのは、「作って終わりにしないこと」です。これらの壁は、リファラル採用が「難しい」と言われる4つの壁とも重なります。始める前に一度目を通しておくと、つまずきを避けやすくなります。

あわせて読みたいリファラル採用は難しい?続かない・形骸化する4つの壁と、紹介が生まれ続ける運用

KPIとPDCAで、育てながら回す

運用が回りはじめたら、数字で振り返ります。最初から多くのKPIを追う必要はありません。私はまず、紹介数・面談数・入社数という、紹介から入社までのファネルを見ます。そして入社後は、定着しているかも確認します。これらをスプレッドシート1枚に記録し、月に一度、うまくいった点と詰まった点を振り返って、周知の仕方や人物像の伝え方を調整します。この「計画→実行→振り返り→改善」のPDCAを、小さく速く回すことで、制度は育っていきます。

あわせて、私が欠かさないほうがよいと考えているのが、紹介してくれた社員への感謝と、丁寧なフィードバックです。紹介があったら必ずお礼を伝え、選考がどう進んだか(進んでも、見送りでも)を丁寧に共有する。エン・ジャパンの調査では、リファラル採用が「うまくいっている」と答えた企業は41%にとどまります。制度を作るだけで、自動的に成果が出るわけではありません。私は、その中でも紹介者への感謝と結果のフィードバックを欠かさないことをおすすめしています。

よくある質問(FAQ)

Q. 何から始めればいいですか?
目的を決めることからです。「なぜやるのか」が定まると、報酬額も対象も運用も決めやすくなります。そのうえで、推進する担当を決め、まず1つのポジションで、求める人物像を具体的な言葉にして社員に共有するところから始めるのがおすすめです。

Q. どのくらいで成果が出ますか?
即効性は期待しにくい手法です。制度が社内に定着し、紹介が自然に出はじめるまで数か月かかることもあります。短期の採用数で判断せず、紹介の「動き」が続いているかで見てください。

Q. 報酬は最初から用意すべきですか?
必須ではありません。まずは少額、あるいは報酬なしで運用を回し、紹介が生まれる手応えを掴んでから制度を整える順番でも問題ありません。報酬より、思い出してもらう仕組みと、紹介への反応のほうが先に効きます。

Q. 専任の担当者がいないと難しいですか?
専任でなくても始められます。ただし、成果を出し続けるには、続けて運用する担当を1人決めておくのがよいです。「思い出してもらう」「感謝を返す」を仕組みにして、属人的な頑張りだけに頼らない形にしておくと、片手間でも続けやすくなります。

Q. スタートアップや中小企業でも始められますか?
始められます。私は、採用予算や知名度に限りがある会社ほど、検討する価値があると考えています。事業に集中したいフェーズで、採用に時間もお金もかけすぎられないからこそ、社員の人脈を活かすリファラル採用は選択肢になります。自社とのマッチ度を重視した採用につなげやすい点も、限られたリソースの会社に合っています。

Q. 他の採用手法と並行してもいいですか?
むしろ並行が前提です。リファラルは母集団の量やスピードのコントロールが難しいため、求人媒体やエージェントと組み合わせます。大量・急ぎの採用は他チャネルを主軸にし、リファラルは定着の良い採用に充てる、といった役割分担が現実的です。

Q. 始める前に、リスクや「やばい」と言われる点も知っておきたいです。
「やばい」と言われる理由の記事で、人間関係の悪化や同質化など7つのリスクと対策を整理しています。多くは設計と運用で防げるので、始める前に一度目を通しておくと安心です。

まとめ

リファラル採用の始め方を、8ステップで見てきました。要点を整理します。

  • 始め方の肝は「目的を先に決める」「小さく始める」「運用を止めずに続ける」
  • 手順は、目的→推進メンバー→人物像→説明材料→報酬→規程/法務→周知→運用の8ステップ
  • 立ち上げは数日〜数週間。本当に手がかかるのは、その後の運用を止めずに続けること
  • 採用予算や知名度に限りがあるスタートアップ・中小企業ほど、検討する価値があると私は考えている

各ステップの詳しい進め方は、報酬相場規程の作り方と雛形報酬は違法?続かない4つの壁の各記事にまとめています。あわせて読むと、立ち上げから運用まで一本の線でつながります。

出典・参考

伊藤 駿

執筆

伊藤 駿株式会社Filants(Riffy運営)代表取締役

株式会社Wunderbar(Skettt運営)の取締役として、シード〜シリーズA期の5年半、事業・プロダクト・組織・採用を横断してリードしてきました。その中で、国内外で計15名をリファラル採用で採用。0→1・1→10フェーズの採用と組織づくりの実務、そして生成AIを前提とした開発・業務構築の知見をもとに、現場で本当に使えるリファラル採用の実践知をお届けします。

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